Googleアナリティクス4 (GA4)とは
Googleが提供する、Webサイトの利用状況分析ツールです。Webブラウザでのアクセスだけでなく、iOSやAndroidのアプリでのコンテンツ利用も分析できます。デファクトスタンダードと言える著名なツールなので、マーケティング専門企業などが使い方を詳しくネット公開しています。ただ、それらを見ていると、難しい横文字のマーケティング用語が並んでいますし、マーケティング初心者は圧倒されてしまいます。
ここでは「GA4超入門」として、私が理解しづらかった概念を中心に、できるだけ平易に解説します。具体的なGA4の使い方は豊富なネット情報をご覧ください。
GA4の限界
ネットを見ていると、GA4は何でも分析できるように見えてしまいます。マーケティング知識の豊富な方々には当たり前のことかもしれませんが、GA4の限界を列挙します。
- GA4向けにあらかじめ準備されたコンテンツしか分析出来ない
- 他社のWebサイトのアクセス状況は分析できない
下図は、GA4が動作する仕組みを模式的に表したものです。
- 分析者はまず、利用状況を分析したいコンテンツに対して、あらかじめGA4用の仕掛けを組み込みます。模式図ではこの仕掛けを「センサ」と表現しました。
- ユーザがそのコンテンツにアクセスすると、センサの埋め込まれたコンテンツがユーザ端末にダウンロードされます。
- ユーザ端末では、コンテンツに埋め込まれたセンサが発動し、GA4サーバへ通知が行きます。
- 分析者はこの通知の膨大な蓄積データを分析することで、多数のユーザの利用状況を把握します。
このような仕組みでGA4は動作するため、コンテンツにGA4用のセンサが仕込まれていなければ、GA4はコンテンツの利用状況を知る由もありません。
また、コンテンツにセンサを仕込むには、コンテンツを改変する権限が必要です。改変権限のない他社コンテンツに対して勝手にセンサを埋め込むことはできないので、GA4での分析対象は自社サイトに限定されます。自社サイトの課題解決のためには、他社サイトと自社サイトを比較検討したいところですが、残念ながらGA4だけでは役者不足なのです。
GA4によるWebサイト改善を検討する際は、これらの限界を理解した上でGA4を利用する必要があります。
理解しづらい用語の解説
GA4の解説記事を読んでいると、理解しづらい横文字用語が並んでいて、マーケティング初心者は面食らってしまいます。ここでは、各用語の正確性はさておき、直感的に腹落ちしてもらえるような解説を試みます。
プロパティ
GA4を利用する際は、まずGA4のアカウントを設定します。このとき「プロパティ」を設定するのですが、「プロパティ」なるものがなかなか理解できませんでした。
GoogleのGA4紹介では「プロパティとは、1 つ以上のウェブサイトまたはアプリ(あるいはその両方)に関連付けられた Google アナリティクスのレポートとデータのセットです。」とありますが、今一つピンと来ません。また、GA4の正式名称は「Googleアナリティクス4プロパティ」なので、「プロパティとは何か?」ますます混迷です。
結局のところ、「プロパティ」は分析対象とする「ひとかたまりのコンテンツとデータ」ということかなと思います。
大企業の場合は、一企業が複数の商品ブランド(洗剤や化粧品など商品カテゴリごとにブランディングしていることが多い)を持っているため、ブランドごとにプロパティを設定した方が分析しやすいでしょう。そのため、分析者のアカウントに対して、複数のプロパティを設定することになります。
一方、中小企業の場合は、特定の商品カテゴリに限定した事業となっていることが多く、自社のWebサイト全体を一つのかたまりとして分析した方が効率的です。そのような場合は、分析者のアカウントに対してプロパティは一つで十分でしょう。
タグ
上述の模式図で説明したように、利用状況を分析したいコンテンツには「センサ」を埋め込みます。この時、特定目的のセンサをコンテンツに埋め込んでしまうと、分析目的が変わったときに、全てのコンテンツのセンサを分析目的に応じて改変しなければなりません。
そこで、コンテンツには分析目的に依存しない汎用的な「タグ」を埋め込んでおき、タグマネージャによって「タグ」から具体的な分析へマッピングします。分析目的が変わっても、コンテンツに埋め込んだタグを改変する必要はなく、タグマネージャ上のマッピング、すなわち、タグの処理を変更するだけです。こうした仕組みによって、GA4では分析作業の生産性を高めています。
コンバージョン
マーケティングに詳しい人と話をしていると、「コンバージョン」という言葉を良く聞きます。GA4でも「コンバージョンの測定」など「コンバージョン」という用語が頻繁に使われます。
「conversion」の一般的な日本語訳は「変換」であり、コンテンツのアクセス分析において「コンバージョン(変換)」と言われても意味不明です。一方、マーケティングの世界では、商品購入、広告閲覧、資料ダウンロードなど、何らかの成果に結びついたことを「コンバージョン」と呼んでいて、「コンバージョン=成果」と理解するのが良さそうです。「商品購入」などの具体的な行動表現では説明が長くなってしまうため、「コンバージョン」という抽象的な表現にしているのでしょう。
ユーザが成果まで辿り着かず途中で閲覧をやめてしまうとコンテンツの提供目的が未達になりますから、ユーザが「コンバージョン」へ辿り着いてくれるようなコンテンツ構成にすることが重要になります。
インサイト
マーケティング用語の「インサイト」は、潜在ニーズと同様にユーザ自身が気づいておらず、さらに潜在ニーズと呼べるまでにも至っていないような心理状態を指しています。一方、GA4でのインサイトは、機械学習で抽出されるなど、何らかのアルゴリズムで導き出される定量的測定値です。つまり、GA4で提示されるインサイトは、マーケティング用語としてのインサイトよりも狭い意味となっているので、この違いを理解した上でGA4のインサイトを利用する必要があります。