techrmc’s blog

ICT大好きな中小企業診断士のブログです

【書評】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(著者:佐々木俊尚、東洋経済新報社)

「読むことで様々な知識・視点を身につけ、そこから概念を把握し、世界観を描いた上で、自分の血肉にする」ノウハウを整理した本です。

現代は大量の情報が溢れているので、まず読むべき本を選別することが重要です。インターネットの普及によって様々なメディアが出現しましたが、各メディアのタイプを意識して読まなければならないと説いています。主張に偏りのあるメディアは、特に注意が必要で、それを見抜くポイントを紹介しています。SNSのように特定のコミュニティに閉じたメディアでは主張の偏りが増幅しがちなので、発信者が信頼できる人物かどうかの見極めが肝心です。一般誌の新聞も、広く浅い知識を集めるには有用ですが、必ずしも公平とは限らないので要注意です。

ネット上で情報を収集するツールとしては、著者はRSSリーダTwitterをお勧めしています。RSSリーダは正直なところ「今さら?」と思いましたが、あちらこちらのサイトから記事がプッシュされてくるので、多様なサイトから広く情報収集するには有用かもしれません。また、Twitterに関しては、信頼できる専門家を見出し、その専門家をTwitterでフォローする。それによって、意図的に流される怪情報に振り回されることなく、専門的にも妥当な深い情報を獲得できる。こうした偏りのない情報獲得を提案しています。

また現代人は時間に追われ、膨大な記事をじっくり読む時間がなかなか持てません。そうした記事洪水への対策として、著者はpocketの活用を提案しています。ネットで面白そうな記事を見つけたらpocketにしまっておき、移動中などスキマ時間にじっくり読むべき記事を選別し、場合によってはメモアプリに永久保存する。そうした著者のテクが紹介されています。刺激を受けて、私も早速pocketを使い始めたところです。

本に関しては、著者は電子書籍をお勧めしています。個人的には、電子書籍は自由な書き込みができず、紙の本に比べて深く読み解くことができないように感じています。電子版かリアル版か、書籍の好みは個人差がありそうですが、NHKの「100分de名著」の活用やビジネス書の読み方など、なるほどね、というノウハウは参考になりました。

読み方以外にも、現代人の「集中できない」生活スタイルについても、対策を提案しています。無理に長時間集中しようとせず、短時間集中のマルチタスキングがお勧めだそうです。本書は、読む力にとどまらず、現代人のワーキングスタイルについて著者のノウハウが詰まった本です。